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5.計画書(2)を見直そう
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 引き続き、ケアプランの見直しの時期(短期目標の期限である6月、初回プラン作成から2か月後)にあたり、計画書の原案を作っている場面です。ここからは、居宅サービス計画書(2)の内容を見直していくことにします。これまでの情報なども見直しながら読み進めていただくと、わかりやすいと思います。

【著者:吉田光子(郡山ソーシャルワーカーズオフィス)】

初回プランのニーズの@を見直し、目標を考える

吉田:では次に居宅サービス計画書(2)を見ていきましょう。これまでお聞きしたことからすると、こちらはかなり変更しなければならない点があるようですね。鈴木さんとして気づかれていること、変更しようと思っていることはどこでしょうか? 現在の計画書をもとに直すことや加えることを吟味し、最後に順番を考えていくということにしたいと思います。それでよろしいですか?
鈴木:はい、それで結構です。先ほどもお話ししたように、このプランは、私の不安が先にあった結果だったと思います。もっと加えるべきことや、見直さなければならないことがきっとあると感じています。
吉田:では、ニーズの@の内容(※病気の再発を防ぎ、再入院しないようにしたい)から順番に見ていきましょう。
鈴木:ニーズの内容としてはそう変わらないと思いますが、表現を変えていきたいと思います。「再入院しない」ではなく「病気の悪化を防ぎ、今の体調を継続したい」ではどうでしょうか。
吉田:そうすると長期目標はどうなりますか?
鈴木:はい、「上手に病気とつきあい、悪化しない」かなあ。そうすると短期目標はどうなるだろう。通院すればいいとしか考えていませんでしたね、私(苦笑)。
吉田:(笑いながら)この計画書では、でしょう。先ほども、また初めてお会いした時にもいろいろと、この目標に関係するお話を、鈴木さんから伺っていますよ。
鈴木:えっ、そうでしたか? そうするとなんだろう。病気のことはKさんご夫妻のほうがわかっているし、主治医の先生もいろいろお話ししてくださるから安心だし・・・。
 「定期的に診察を受け、病状の変化を見逃さない」っていうのはどうですか? それとも「病気とのつきあい方を理解し、病状の変化を見逃さない」のほうがいいかなぁ。そしてそれができるようになったら、具体的に○○をするとか、△△しないっていう目標になるかなぁと思います。
吉田:ずいぶん出てきましたね。先ほど鈴木さん自身がおっしゃっていたように、Kさんも奥さんも、病気のことや治療に関してよくご存じのようですし、主治医の先生ともいろいろお話ができる関係でしたね。そうすると、新しい目標、特に短期目標が具体的に描けると、今鈴木さんがお気づきになったように、次の短期目標の予想というか目指すところが見えてくるのではないかと思います。
 では続いて、サービス内容に関しても考えていきましょう。現在のプランでは、訪問介護による通院介助しか入っていませんが、実際にはさまざまなことがなされていましたね。それを思い出しながら、あげてみてください。
鈴木:病気を悪化させないために、また病気とのつきあい方は、主治医の先生による診察や指導を受けていますし、もちろんお薬ももらっていますね。先生の指導を実行して守っているのはKさんだし、協力しているのは奥さんです。もちろん通院介助もしてもらっていますが。
吉田:目標から考えてサービス内容を検討していることと、現在の生活の様子をきちんと把握なさっているので、前回のプランに比べるとずっと広がりが出てきましたね。また、Kさんや奥さんがなさっていることをちゃんとプランに盛り込むことは、まだそのことに気づいていない関係者に知らせる意味や、本人の持っている力を認めていることになります。では、早速どう記入するのか考えてください。
鈴木:はい。
(内容は、ケアプランを参照)


初回プランのニーズのA以降を見直す

吉田:では、次にAの内容(※普段の生活で家族に負担をかけないようにしたい)を見ていきましょう。このニーズはどうですか。
鈴木:ここは、このままだと実際のKさんの姿とは違っているような気がします。
吉田:違っているのですか?
鈴木:はい、さっきもお話ししましたが、Kさんは前向きな方です。Kさんのおっしゃる言葉をそのまま借りて書いてしまったのですが、今目標を見直すと、自分がわかっていなかったと、つくづく感じました。
吉田:それはどういう意味でしょう。
鈴木:はい、ここは「家族に負担をかけないようにしたい」のではなく、「自分のことは自分でしたい、決めたい」という意味だったのだと思います。それに、奥さんの身体のことも心配していたからこその言葉だったのではないかと、今は思います。
吉田:そうですか。ニーズの理解が深まったことで、目標がずれていることに気づかれましたね。ニーズに関しては、どのようにしましょう?
鈴木:意向のところで使った表現を持ってきたいと思います。「以前のような生活をしたい」ではいかがでしょうか。
吉田:そうした場合、目標はどうなりますか?
鈴木:目標をいくつかに分けて、A以降のニーズを整理し直してみたいと思います。例えば、AとBの内容(※自分で排泄したい)は関連しているのでひとつにまとめます。また、現在検討中の入浴のことも含めたいと思います。でも、どうまとめようかなぁ・・・。それから、Cの内容(※これからも自分らしく過ごしたい)も、目標としてならこのニーズに対応していると思います。
吉田:ニーズが漠然としてつかみにくい気がしましたが、今のお話を聞いて安心しました。Kさんのおっしゃる以前の生活を具体的に考えながら、目標として設定しようとなさっているからです。では一緒に考えていきましょう。
鈴木:お願いします。まず、トイレのことはもうKさんも奥さんもこれでいいとおっしゃっているので、長期目標を「一人でトイレで排泄できる」に変えて、サービス内容も見直します。ヘルパーが何かすることはもう必要ないと思います。移動の部分も含めて訪問リハの方に、ときどき見ていただいて、アドバイスをもらうかたちにしようと思います。そうするとこの目標は、順番も後のほうになると思います。
吉田:そうですね、日中はトイレで夜間はポータブル利用で、ほぼ自立なさっているんでしたよね。これまで入っていたヘルパーさんは必要ないですか?
鈴木:当初は奥さんも自信がなかったし、私も不安でした。でもはじめから週3回で済んでいたんですから、必要ないですよね(笑)。ただトイレに限らず、慣れない毎日で困ったことなど、話を聞いてもらってよかったとは伺っています。今はトイレへの歩行より、通院や散歩に付き添ってもらうことが多いようです。
吉田:ヘルパーさんもKさんへのサービス内容を変えていらっしゃるのですね。
鈴木:そうですね。実績の報告の際にこういう形にしているとか、またKさんからも要望が出て、杖で家の近くを歩く練習をしたりしています。
(ほかの目標についても検討し、計画書(2)の原案ができあがった)


記載にあたって注意すること

 初回作成時はまだまだ情報も不足していますが、わかっていることから計画を立てていくしかありません。しかし2回目以降は、それまでに追加された情報やご本人や家族の価値観、生活の仕方などを考慮に入れて、ケアプランを見直していかなければなりません。
 利用者のためを考えていても、ケアマネジャーが自分の考えだけで作成していいものではないのです。一つひとつのニーズについて、利用者の実感に沿ったものになっているか、表現も含めて吟味しましょう。
 また、ニーズに対して目標を作成しサービス内容を検討するという基本を忘れないでください。ニーズから一足飛びにサービスを考えてしまうと、ありきたりなものしか浮かびませんし、パターン化してしまうおそれがあります。利用者一人ひとりの目指すものは違うはずです。個別性を大切にしましょう。
 またサービス内容には、介護保険サービスだけを記載するのではありません。インフォーマルサービス、特に本人が行っていることなどを盛り込んでいくことは、相手の力を再確認することにもつながります。記載したことをきっかけにして、実際に行っていることの話を聞くこともできるでしょうし、こんなことをしてみたいという、次の目標を見つけるチャンスにもなることでしょう。
 ご自分が気づいたところからでよいので、内容を利用者本人や家族に確認しながら、個別性を高めていってほしいと思います。

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