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【京都府】

エクモや人工呼吸器の稼働状況がリアルタイムで分かる サイトに医療関係者が注目

京都新聞 2021年6月17日(木)
エクモや人工呼吸器の稼働状況がリアルタイムで分かる サイトに医療関係者が注目

全国のエクモや人工呼吸器の稼働状況をまとめたサイト「エクモネット」の画面。都道府県別の数字などがリアルタイムで見られる

 新型コロナウイルスの感染拡大が繰り返される中、重症者の治療に使われる人工心肺装置「ECMO(エクモ)」や人工呼吸器の稼働状況がリアルタイムで分かるとして、医療関係者や研究者の間で注目を集めているインターネットサイトがある。変異株が猛威を振るう現在の「第4波」では若者でも重症化しやすい傾向についていち早く警鐘を鳴らすなど、感染対策にも貢献している。

 NPO法人「日本エクモネット」のサイト。京都府立医科大付属病院の橋本悟・集中治療部長(64)がデータ管理を統括している。

 掲載している情報は、エクモと人工呼吸器の都道府県別の稼働状況をはじめ、治療を受けた重症者に占める回復者・死者の割合、第1〜3波における救命率の変化、重症者の年代別や肥満度別のデータなど多岐にわたる。全国約660の病院がデータ提供に協力しており、国内の集中治療室(ICU)の約8割をカバーしているという。

 エクモネットは昨年2月、エクモ管理の第一人者であるかわぐち心臓呼吸器病院(埼玉県川口市)の竹田晋浩理事長や京都府立医科大付属病院の橋本悟・集中治療部長らが中心となり立ち上げた。当時はまだ感染者数は少なかったが、「早晩、新型コロナウイルスの感染が拡大し、多くの病院でエクモや人工呼吸器を使うことになる」(橋本氏)と設立を決めた。

 背景には、2009年に流行した新型インフルエンザでの「反省」がある。当時も重い肺炎患者にエクモが使われたが、救命できたのは14症例中、35%程度の5例にとどまった。日本の医師の熟練度が低かったためで、橋本氏は「7〜8割を救命できた欧米に比べて、日本の成績は惨憺(さんたん)たるものだった」と振り返る。

 危機感を募らせた日本呼吸療法医学会と日本集中治療医学会に所属する医師らは、エクモの治療成績向上を目指すプロジェクトを12年に始動させ、国内で講習会を開くなどスキルアップに努めてきた。

 新型コロナの感染拡大を見据えてエクモネットを立ち上げた後は、エクモの扱いに慣れていない医師がいつでも相談できるように24時間相談窓口を設置した。有志のメンバー約50人が交代で電話当番を担っている。エクモを装着した重症者の転院をエクモネットに協力する病院間で行うなど医療機関同士の連携にも一役買っているという。

 そんなエクモネットについて、京都大の山中伸弥iPS細胞研究所長が自身のサイトで紹介し、「忙しい診療の合間にデータを入力されており敬意を表します」と称賛。昨夏には大阪府で人工呼吸器の装着件数が増えているのを見て危機感を抱いた厚生労働省の職員が問い合わせてくるなど、国や自治体関係者も注視しているという。

 今月4日までに642人がエクモを使用し、65%に当たる421人(使用中の53人を除く)を救命することができた。自身も府立医科大付属病院で救命現場に携わる橋本氏は「さらに医療機関同士の連携を深め、救命率を高めていきたい。またコロナ禍を乗り切った暁には重要な資産として次世代にエクモネットのデータを残したい」と話す

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