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令和2年度報酬改定のポイント 診療報酬編
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 2020年度の診療報酬改定は、診療報酬本体引き上げ(+0.55%)薬価等引き下げ(薬価△0.99%、材料価格△0.02%)で全体としては引き下げとなりました。本体部分0.55%のうち+0.08%は救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応であり、消費税を財源としていることなど、改定のポイントをみていきます。2020年度の診療報酬改定は、診療報酬本体引き上げ(+0.55%)薬価等引き下げ(薬価△0.99%、材料価格△0.02%)で全体としては引き下げとなりました。本体部分0.55%のうち+0.08%は救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応であり、消費税を財源としていることなど、改定のポイントをみていきます。

T 医療従事者の働き方改革推進のために

 中央社会保険医療協議会(中医協)は2月7日、2020年度の診療報酬改定案について了承し、加藤厚生労働大臣に答申した。
 今回の改定では、@医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進、A患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現、B医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進、C効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上、の4つの基本的視点に基づく内容となっている。

 

穂診療報酬改定の基本
 

 全体の改定率は、診療報酬本体+0.55%、薬価等△1.01%(薬価△0.99%、材料価格△0.02%)となった。本体改定率は、通常分の+0.47%(医科+0.53%、歯科0.59%、調剤+0.16%)、本体部分+0.55%のうち救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応分(消費税財源)として+0.08%を充てている。
 主要な改定項目は、次の通り。

 

<医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進>

 

 過酷な勤務環境となっている救急病院への評価として「地域医療体制確保加算」(520点)を新設。10対1看護配置以上の入院基本料・入院料の入院初日に加算する。要件は、救急車・救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年間2000件以上であること、病院勤務医の負担軽減や処遇改善につながる体制(勤務時間・状況の把握、改善を提言する責任者の設置、負担軽減・処遇改善計画を作成する委員会または会議の設置等)をとっていること、である。同加算の対象とならない救急病院等については、地域医療介護総合確保基金で、医師の労働時間短縮のための体制整備を支援する。
 さらに、「救急搬送看護体制加算」を2段階評価とし(上位となる同加算1を新設)、同加算1を400点、同加算2を200点(改定前と同じ)とした。同加算1の要件は、救急車・救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年間1000件以上、専任の看護師を複数名配置等となっている。同加算2は、改定前の救急搬送看護体制加算の要件と同じである。

 医療従事者の柔軟な働き方に対応するため、常勤配置に係る要件や専従要件を緩和。週3日以上かつ週24時間以上の勤務を行っている複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算でも配置可能としている項目について、週3日以上かつ週22時間以上の勤務を行っている複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算で配置可能とする。医師については、複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算でも配置可能とする項目を拡大する。

 タスク・シェアリングやタスク・シフティングを進めるため、メディカルクラーク等の配置を評価する医師事務作業補助体制加算が算定できる対象病棟を、地域包括ケア病棟、結核病棟、有床診療所、特殊疾患病棟、精神科急性期治療病棟、精神療養病棟、認知症治療病棟等に拡大、報酬も加算の各段階(計16段階)で一律50点引き上げている。看護職員夜間配置加算、急性期看護補助体制加算の引き上げ、麻酔管理料Uの要件見直し(一部の行為を、特定行為研修を修了した看護師が実施しても算定可に)も行われる。

 看護職員の負担軽減、看護補助者との業務分担・協働を推進するため、看護職員夜間配置加算(4段階+注加算3種類)は一律10点、急性期看護補助体制加算(7段階)は一律30点、看護補助加算(4段階)は10〜12点、夜間看護加算(療養病棟入院基本料の注加算)と看護補助者配置加算(地域包括ケア病棟入院料の注加算)は各10点、看護補助加算(障害者施設等入院基本料の注加算)(2段階)は一律12点引き上げている。

 結核病棟や精神病棟の入院患者に対する栄養面への積極的な介入を推進するため、栄養サポートチーム加算の算定対象となる入院料に、結核病棟入院基本料、精神病棟入院基本料および特定機能病院入院基本料(結核病棟、精神病棟)を追加した。

 

U かかりつけ医機能とオンライン診療を拡大

 

<患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現>

 かかりつけ医機能を推進するため、地域包括診療加算の要件が緩和されている。改定前は、時間外対応加算1・2の届出が要件となっていたが、同加算3(準夜帯の問い合わせに複数の診療所による連携で対応できる体制がある)の届出でも算定できることとなった。

 かかりつけ医機能の普及を図るための機能強化加算については、患者への情報提供を充実させるため、要件に「必要に応じて、専門医、専門医療機関に紹介する」、「医療機能情報提供制度を利用して、かかりつけ医機能を有する医療機関が検索できる」、「掲示内容を書面にしたものを院内の見えやすいところに置き、必要に応じて持ち帰れるようにすること。患者から求められれば交付すること」を加えた。

 また、かかりつけ医と他の医療機関の連携を強化するため、診療情報のフィードバックを評価する診療情報提供料V(150点)を新設。@かかりつけ医が他の医療機関に患者を紹介し、その医療機関がかかりつけ医に診療状況を文書で提供した場合(3月に1回)、A産婦人科の主治医が妊婦を他の医療機関に紹介し、その医療機関が主治医に診療状況を文書で提供した場合(月1回)、に算定できる。

 小児に対する継続的な診療を推進するため、小児かかりつけ診療料、小児科外来診療料の算定対象患者を、3歳未満から6歳未満に拡大した。

 外来患者への重複投薬解消に対する取り組みを評価するため、6種類以上の内服薬が処方されている患者からの求めに基づき、処方医に重複投薬の解消に係る提案を行った場合の「服用薬剤調整支援料2」(100点/3月に1回まで)を新設している。なお、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料については、「患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること」が施設基準として追加された。

 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から、精神病棟における退院時共同指導の評価を下記のように新設している

 〇精神科退院時共同指導料

1 精神科退院時共同指導料1(外来または在宅医療を担う保険医療機関の場合)
 イ 精神科退院時共同指導料(T) 1500点
 ロ 精神科退院時共同指導料(U) 900点
2 精神科退院時共同指導料2(入院医療を提供する保険医療機関の場合) 700点

 指導料1のイとロは、患者が措置入院等であったかどうかによって該当が異なり、また指導料2も含めて、退院後在宅での療養を行う患者が算定の対象であり、他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設に入院もしくは入所する患者または死亡退院した患者については、対象とはならない。

 また、地域で生活する精神疾患患者を支援するため、精神科外来における多職種による相談・支援等について「通院・在宅精神療法」(250点・月1回まで/入院中に精神科退院時共同指導料1を算定した患者)を新設した。

 治療と仕事の両立に向けた支援の充実のため、1000点(6月に1回)だった療養・就労両立支援指導料を、初回800点(月1回)・2回目以降400点(月1回・3月限度)とし、対象疾患について、これまでのがんの他に@脳血管疾患、肝疾患、指定難病を追加、A対象企業側の連携先に総括安全衛生管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、労働者の健康管理等を行う保健師を追加(産業医がいない企業も対象とする)、B看護師または社会福祉士が相談支援を行った場合の相談支援加算(50点)を新設、等を行っている。改定前にあった相談体制充実加算(500点)については、廃止した。

 データに基づくアウトカム評価を推進するため、データ提出加算が要件となる入院料について、これまで対象ではなかった許可病床数200床未満の回復期リハビリテーション病棟入院料5・6または療養病棟入院基本料を算定する病棟を有する医療機関に拡大した。なお、経過措置として「データ提出加算に係る施設基準について、2020年3月31日において、現に回復期リハビリテーション病棟入院料5・6(許可病床数が200床未満の医療機関に限る)、療養病棟入院基本料(許可病床数が200床未満の医療機関に限る)の届出を行っている病棟については、2022年3月31日までは2020年度改定前の基準で届け出ても差し支えない。

 また、データ提出加算に係る施設基準について、回復期リハビリテーション病棟入院料5もしくは6または療養病棟入院基本料の病床が200床未満の病院であって、電子カルテシステムが導入されていない等、データの提出を行うことが困難であることについて正当な理由がある場合については、「当分の間、2020年度改定前の基準で届け出ても差し支えない」となっている。

 患者や家族の意向に沿いつつ地域との連携を推進するため、緩和ケア病棟入院料1の要件に、新たに施設基準(緩和ケア診療加算、外来緩和ケア管理料または在宅がん医療総合診療料の届出を行っていること)を加えた一方、平均在院日数を要件から削除している。

 外来での抗がん剤治療の質を向上させるため、外来化学療法加算1のAを算定する患者にレジメン(治療内容)を提供し、必要な指導を行うとともに、地域の薬局に勤務する薬剤師等を対象とした研修会等を実施している場合に算定できる「連携充実加算」(150点・月1回)を新設した
 コンタクトレンズの処方でも算定される等、不適切事例のあった妊婦加算については、廃止する。

 オンライン診療の実施要件については、事前の対面診療の期間を6カ月から3カ月に短縮するとともに、対象疾患に@慢性頭痛の患者、A糖尿病、慢性肝疾患、慢性ウイルス肝炎で在宅自己注射を行っている患者を追加。また、医療資源の少ない地域等では、やむを得ない事情により、二次医療圏内の他の医療機関の医師が初診からオンライン診療を行うこと等を認める。

 さらに、近隣の医療機関では診断が困難な希少性の高い疾患等の患者が、かかりつけ医のもとで事前の十分な情報共有のうえ、遠隔地の医師によるオンライン診療を受ける場合の評価として、「遠隔連携診療料」(500点・3月に1回に限る)を新設した。なお、当該診療報酬の請求については、「対面による診療を行っている保険医療機関が行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる」としている。

 このほか、医薬品医療機器等法が改正され、情報通信機器を用いた服薬指導(オンライン服薬指導)が対面による服薬指導の例外として認められることを踏まえ、外来患者、在宅患者へのオンライン服薬指導料を新設した。外来患者は「薬剤服用歴管理指導料4 オンライン服薬指導を行った場合」(43点・月1回まで)、在宅患者は「在宅患者訪問薬剤管理指導料 在宅患者オンライン服薬指導料」(57点・月1回まで)である。同法の施行日(公布日である2019年12月4日から1年以内)以降に算定できるようになる。

 ニコチン依存症管理料については、@加熱式たばこの喫煙者も対象とする、A5回の治療のうち2〜4回目はオンライン診療を可能とする、B5回の治療を包括した同管理料2(一連につき800点)を新設している。

 

V 厳格化された急性期入院料大

 

≪医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進≫

急性期の患者をより適切に把握できるよう、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」の評価項目・判定基準を見直したうえで、重症患者割合(判定基準を満たす患者の割合)を見直す。例えば、急性期一般入院基本料1(旧7対1入院基本料)は、従来の測定方法であるTで改定前の「30%以上」を「31%以上」に、診療実績データを用いた方法であるUで同「25%以上」から「29%以上」に引き上げる。

 地域包括ケア病棟入院料については、400床以上の病院の一般病棟から地域包括ケア病棟への転棟が「6割以上」の場合、入院料を10%減額する。200床未満の病院が対象の地域包括ケア病棟入院料1、3については、「自宅等からの入棟患者割合(10%以上→15%以上に)」、「緊急患者の受け入れ(前3月間において3人以上→6人以上に)」の実績要件を厳格化した。

なお、どちらも2020年3月31日時点において現に地域包括ケア病棟入院料を届け出ている場合は、2020年9月30日までの間に限り、当該基準を満たすものとみなす経過措置がついている。

さらに、400床以上の病院は、地域包括ケア病棟入院料の届け出を不可とした(ただし、2020年3月31日時点で地域包括ケア病棟入院料を届け出ている保険医療機関については、当該時点で現に届け出ている病棟を維持することができる)。

回復期リハビリテーション病棟入院料については、アウトカム評価を推進するため、同入院料で求められる実績指数を、入院料1では改定前の「37以上」から「40以上」に、入院料3では同「30以上」から「35以上」とした。なお、同入院料1の要件に管理栄養士の配置を追加するとともに、同入院料2〜6でも配置が望ましい、とした。

療養病棟入院基本料については、「看護配置20対1以上」や「医療区分2・3の患者割合50%以上」を満たせない場合の経過措置1は、改定前の所定点数の100分の90を算定から100分の85に引き下げたうえで、2022年3月31日まで延長する。経過措置2(「看護職員25対1以上」を満たせない場合、所定点数の100分の80を算定)は、2020年3月末で廃止となった。

外来医療については、機能分化を推進するため、大病院受診時定額負担の対象病院(紹介状なしで受診した患者等から定額負担を徴収する責務がある病院)を「特定機能病院+許可病床400床以上の地域医療支援病院」から「特定機能病院+一般病床200床以上の地域医療支援病院」に拡大した。あわせて、定額負担を徴収しなかった場合には、その理由を報告するよう求めている(2020年9月30日までの経過措置あり)。

在宅医療については、複数の医療機関による訪問診療を明確化(情報共有の取り組みをすることで依頼先の医療機関が6カ月以上訪問診療を実施できる)し、医療資源の少ない地域においては、許可病床数280床未満の医療機関についても、在宅療養支援病院として届出可能とした(改定前は240床未満)。

訪問看護については、機能強化型訪問看護ステーションの人員配置基準を見直し(常勤職員のうち、1人分を非常勤看護職員の実労働時間の常勤換算で算入可に)、医療機関からの手厚い訪問看護に「訪問看護・指導体制充実加算」(150点・月1回)を新設した。

円滑な入院医療の提供や病棟負担の軽減等のため、入院前からの患者支援を評価する入院時支援加算については、改定前の200点から、「入院時支援加算1」(230点)、「入院時支援加算2」(200点)とし、「総合機能評価加算」(50点)も新設した

 

W 後発医薬品のさらなる使用促進を目指す

 

≪効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上≫

後発医薬品の使用促進に向け、薬局が算定する後発医薬品調剤体制加算について、調剤数量割合の高い加算に重点を置き、あわせて調剤基本料を2点減算する規定の対象を、調剤数量割合20%以下から40%以下に拡大する。

医療機関における後発医薬品使用体制加算については、加算4(60%以上)を廃止し、使用数量割合の高い加算1〜3(85%以上、80%以上、70%以上)の評価を2点ずつ引き上げている。

在宅自己注射指導管理料については、バイオ後続品に関する情報を患者に提供し、導入した場合の評価として「バイオ後続品導入初期加算」(150点・月1回・3月限度)を新設した。

PET(ポジトロン断層撮影)の共同利用を推進するため、入院中の患者がPETを受けるために他医療機関を受診した場合の入院基本料等の減額率を緩和(10%→5%)している。超音波診断装置の小型化に伴い、訪問診療時に活用されてきているため、超音波検査を訪問診療時に行った場合400点(1月につき)を新設した。

 

 

※ この記事は月刊誌「WAM」2020年4月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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