児童に関する各種の相談に応じ、それぞれの問題解決のために必要な指導・援助を提供する機関
概要
児童相談所は、児童の福祉に関する事項について、主として次の4つの業務を行う行政機関となります。
1. 児童に関する各般の問題について、家庭、その他からの相談に応ずる
2. 児童やその家庭について、必要な調査ならびに医学的、心理学的、教育学的、社会学的および精神
保健上の判定を行う
3. 児童やその保護者について、必要な調査、または判定にもとづいて必要な指導を行う
4. 児童の一時保護を行う
具体的には、18歳未満の児童を対象に、両親の離婚や虐待など家庭や保護者の問題、非行、不登校など児童の問題がある場合、照会や来所、あるいは巡回による相談に応じ、その児童に適した援助を行います。また、虐待などで心身が危険な状態にあるなど緊急の保護が必要な場合、一時的な保護もします。
組織的には相談・措置部門、判定・指導部門、一時保護部門、総務部門によって構成されており、一般家庭や学校、福祉事務所、保健所などから相談を受けたり、通告や送致などの形でケースが受理されたりすることになります。このため、これを受け、保護者や児童からその背景などについて事情を聞いたのち、在宅指導や児童福祉施設への入所、国立療養所への入所委託、里親への委託、福祉事務所や家庭裁判所への送致、家庭裁判所への家事審判請求などを行います。
なお、以前は児童相談所に集中していた児童に関する相談について、一義的には市町村が担うよう改められた結果、児童相談所は深刻な虐待事例を重点的に担当し、両者が連携して対応するようになっています。
また、2007年6月の「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」および児童福祉法の改正に伴い、虐待の疑いがあるにもかかわらず、児童相談所の家庭訪問に応じない親子に対し、都道府県知事が出頭を命じたり、これに応じない場合、立ち入り調査、または質問したりすることができるようになっています。
設置されるのは都道府県や政令指定都市、中核市、特例市などです。
施設数
児童相談所212か所(2018年10月現在)、一時保護所137か所(同)
主な就業職種
ソーシャルワーカー(児童福祉司、相談員)、スーパーバイザー(査察指導員)、書記、児童心理司、児童指導員、セラピスト、医師、保健師、臨床検査技師、理学療法士(PT)、栄養士、事務職員
採用について
児童の健全な育成を図るうえでも重要な機関ですが、通常、一般行政職として採用されたのち、配属されるかは定期異動によって決まることになります。
なお、2000年11月に「児童虐待防止法」が施行されたほか、2004年11月、2016年6月に児童福祉法が改正され、2018年12月に策定された「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」では、児童福祉司や児童心理司は2022 年までに、保健師は2020年までに増員が図られることになりました。
関連団体・組織
自治体