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サービス取組み事例紹介
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—徳島市・医療法人清和会 協立病院/協立病院介護医療院—

回復期・慢性期機能の強化と環境負荷の少ない病院づくり

 福祉医療機構では、地域の福祉医療基盤の整備を支援するため、有利な条件での融資を行っています。今回は、その融資制度を利用された徳島市の協立病院を取りあげます。同院は令和4年5月に病院を新築移転し、療養病床を介護医療院に転換するとともに環境負荷の少ない病院づくりに取り組んでいます。新病院の概要や取り組みについて取材しました。

施設の外観

地域に密着した医療・介護サービスを提供


 徳島市にある医療法人清和会協立病院は、昭和48年の開設以来、「地域住民の健康を支え、安心・信頼される病院であり続けます」という法人理念のもと、時代の背景や地域に求められるニーズに対応しながら地域に密着した医療・介護サービスを提供してきた。
 法人施設は、協立病院(199床)をはじめ、介護老人保健施設2カ所、グループホーム3カ所、居宅介護支援事業所を運営し、日常生活をサポートするための医療・介護事業を展開している。
 同院は、急性期から回復期・慢性期医療まで幅広い医療サービスを提供するケアミックス病院として、近隣の急性期病院(徳島大学病院、徳島県立病院等)の後方支援病院の役割を担うほか、法人内の老健やグループホーム、地域の介護施設などから患者を受け入れるサブアキュートの機能を有し、地域医療に貢献している。
 医療提供では、脳神経外科、整形外科、呼吸器内科など、さまざまな専門分野をもつ医師が充実していることが強みとなっており、人間ドックや脳ドック、生活習慣病予防健診のほか、脳神経外科医による「頭痛物忘れ外来」での認知症の早期発見や骨粗しょう症などの予防医療に力を入れていることも特色となっている。

病院の移転新築に伴い、介護医療院を新設


 同院は、移転新築を行い、令和4年5月に新病院を完成させるとともに、医療療養病床の一部と介護療養病床を介護医療院に転換している。
 病院の建て替えと病床転換を実施した経緯について、理事長の上田美弥氏は次のように説明する。
 「当院は、昭和48年に48床の病院として開設し、326床まで増改築と増床を繰り返してきたことから、動線に非効率が生じていたことに加え、建物の一部が非耐震構造であったことや老朽化など、さまざまな問題が生じていました。さらに、旧施設は南海トラフ巨大地震が発生した際、1m浸水することが予測されており、同一敷地内での建て替えではなく、移転新築を行うことにより老朽狭隘の解消を図るとともに、災害対策を行うことを計画しました。また、2025年を見据えて策定された徳島県の地域医療構想を踏まえ、移転新築にあたっては療養病床を介護医療院に転換し、回復期・慢性期機能を強化するとともに、病床返還を行うこととしました」。
 新病院の開設地は、旧施設から車で5分ほどの場所に新たに土地を取得することができ、病院の正面玄関前に路線バス停留所を誘致したほか、大規模な駐車場を整備することで利便性の向上を図った。
 また、運営する老健やグループホームにおいても建物の老朽化が進んでいたことから旧施設を改築し、移転することにより法人施設の集約化を図っている。


総合受付の画像 療養室の画像
▲ 吹き抜けで開放感のある協立病院の総合受付 ▲ 療養室は備え付けの家具で仕切り、個室に近い環境をつくった
リハビリテーション室の画像 談話スペースの画像
▲ リハビリテーション室では、365 日体制で質の高いリハビリを提供 ▲ 院内には至るところに明るい雰囲気のある談話スペースを設けた


地域の集いの場として展望ホールを設置


 新病院の建物は地上5階建てで、1階には総合受付や診療室、検査室などが入り、2〜4階部分は病棟とリハビリ室、人工透析室、5階にはさまざまなイベントに活用できる展望ホールを設置した。
 移転後の病棟編成は、これまでの一般病床60床、回復期リハビリテーション病床46床、医療療養病床160床、介護療養病床60床の計326床から、医療療養病床の一部と介護療養病床を転換し、病院の病床数を199床に減床するとともに、新設した協立病院介護医療院96床とあわせて計295床とし、病院棟と介護医療院棟(2〜3階の2フロア)を渡り廊下でつないでいる。
 施設設計の特色としては、1階のエントランスは吹き抜けで開放感のある空間をつくり、中央にあるソファーを移動することが可能で、災害時にはトリアージの場所として活用することを想定した。
 「5階の展望ホールは、非常に見晴らしがよく、病院でいちばんよいスペースを患者や家族に開放したいという思いから設置しました。現在は、新型コロナウイルス感染拡大により職員食堂としての使用にとどまっていますが、展望ホールには大型スクリーンを備え、地域住民に向けた健康増進や予防を啓蒙する講座、夏祭りなどのさまざまなイベントを開催することで、地域の集いの場として活用していきたいと考えています」(上田理事長)。


365日体制で質の高いリハビリを提供 


 実践するサービスの特色としては、リハビリテーションでは脳卒中、骨折、肺炎等による運動機能障害や日常生活動作障害に対し、発症直後から作業療法士、理学療法士、言語聴覚士によるリハビリを実践している。移転後はさらにリハビリ機能の強化を図り、理学療法士15人、作業療法士9人、言語聴覚士6人の計30人のリハビリスタッフを配置し、365日体制で質の高いリハビリを提供することに取り組んでいる。
 また、精神・心理面に配慮し、コミュニケーション全体にわたる障害や嚥下機能障害に対しても専門的なリハビリを行っている。
 法人内外の連携としては、設置する地域連携室が中心となり、積極的に県内の急性期病院や診療所等との調整や情報共有に取り組んでいる。調整や情報共有にあたっては、地域連携室のスタッフだけでなく、医師が帯同訪問を実施することにより、医師間で症例の情報交換や申し送り等を行い、充実した連携ができるようになり、入院患者の紹介につながっているという。
 また、介護医療院では、長期療養のための医療的なケアの提供をはじめ、ターミナルケアや看取りに対応するとともに、生活の場としての機能を備えるため、療養室は備え付けの家具で仕切ることにより、プライバシーに配慮した個室に近い環境をつくった。
 「介護医療院に転換することにより、回復期リハビリテーション病棟の在宅復帰先としてカウントされるため、在宅復帰率の向上につながる面もありますが、介護医療院は生活の場であることから、本当の意味での在宅復帰ができることがいちばんのメリットだと考えています。さらに、病院に隣接しているので何かあればすぐに対応することができますし、医師や看護師のほかにも理学療法士、作業療法士、管理栄養士、薬剤師もいるので安心感があり、稼働率もほぼ100%で推移しています。一方、病院では外来患者数は大幅に増加し、旧施設の1日100人前後から移転後は200人を超えています。外来患者が大幅に増加している要因として、病院が新しくなったことに加え、地域に根ざした病院として、旧施設の通院患者や移動が困難な中山間地域の患者の送迎に取り組んでいることも大きいと思います」(上田理事長)。

介護医療院の療養室の画像 デイルームの画像
▲ 介護医療院の療養室と各病棟に設置したデイルーム
職員食堂の画像 地域住民に向けた講演会
▲ 5 階には見晴らしのよい展望ホールを設置し、職員食堂として利用するほか、地域住民に向けた講演会やイベントなどに活用することを想定している


環境負荷の少ない病院経営を目指す


 さらに、病院の新築移転にあたっては、環境負荷の少ない病院経営を目指し、令和2年度に経済産業省の「ZEB」実証実験事業に参画し、徳島県内の法人では第1号となる「ZEB」リーディング・オーナーの登録申請を行っている。
 「ZEB(ゼブ)」は、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、快適な室内環境を保ちながら、省エネと使用するエネルギーをつくる(創エネ)ことにより、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物を指している。
 環境に配慮した建物や設備の工夫について、事務部長の近藤哲生氏は次のように説明する。
 「具体的には高性能な空調・換気設備をはじめ、照明設備、給湯設備、昇降設備を導入し、とくに昼夜で利用率に差がある廊下等の照明制御を備えることで省エネを図っています。さらに躯体には、高性能な断熱材や開口部に断熱ガラスを用い、空調熱の負荷軽減を行っています。また、建物内の電力の使用量などを計測し、見える化を図るとともに、空調や照明設備等を制御するエネルギー管理システムを活用して実績データを分析することにより効果の定量化に取り組んでいます。これらの導入により、新病院では平成28年基準に対し、一次エネルギー消費量を34.9%削減することが見込まれています」。
 そのほかにも、同院は災害時の避難場所としての機能を備え、とくにライフラインは複数系統から調達できる体制を整備している。電力については、電力会社からの電力供給のほか、太陽光発電設備と非常用発電機を備え、メインの電力供給経路が消失しても数日間は病院機能を維持することが可能となっている。水道は、公共水道のほかに地下水飲用化システムを導入し、高度処理した地下水など複数の水源から飲料水を確保することができ、食料についても患者・職員が最低3日間は生活できる備蓄を行っているという。


1 階に設置したカフェの画像 近藤 哲生氏の画像
▲ 1 階に設置したカフェは、地域住民や職員の憩いの場として活用され ている ▲ 医療法人清和会 協立病院事務部長 近藤 哲生氏


働きやすい職場環境づくりに取り組む


 近年、医療スタッフの確保が全国的な課題となっているなか、同院では医師は比較的安定して確保することができている一方、看護師と介護職員の確保は厳しい状況にあるという。
 「医師については、整形外科医と内科医が2人ずつ入職する予定です。当院が地域から求められているニーズはホームドクターとしての役割になりますので、入職後は総合診療医の研修を受けてもらい、さらに地域に密着した病院としての機能を高めていきたいと考えています」(上田理事長)。
 同時に働きやすい職場環境づくりに取り組んでおり、旧施設の敷地内には事業所内保育所(地域枠を含む定員41人)と単身者向けの職員寮(20室)を整備している。事業所内保育所と職員寮は、ともに月額1万円で利用することができ、常に定員に達している状況だという。
 さらに、職員の定着に向けて育児時間の取得や短時間勤務、夜勤免除など、職員のニーズに柔軟に対応するとともに、子の看護休暇(年間5日、2人以上は年間10日)や介護休暇等の支援制度を導入し、育休取得率・職場復帰率はともにほぼ100%となっている。男性職員に対しても育児制度の利用を推奨し、活用する職員も増えているという。2023年4月より子供手当を新設、18歳未満の子ひとりにつき1万円宛、ひとり親については、倍の2万円宛が支給される。
 地域に密着した病院として地域医療に貢献する同院の今後の取り組みが注目される。


地域包括ケア病棟の新設を構想
医療法人清和会 協立病院
理事長 上田 美弥氏
理事長 上田 美弥氏の画像  病院の移転新築にあたっては、将来的な人口減少や医療需要の縮小などを見据え、31床減床しました。経営にも大きな影響があることから悩みましたが、人口が減少しても患者や地域に選ばれる病院であり続けることで生き残ることができると判断しました。現在は選ばれる病院を目指し、医師の充実とともに職員の教育に取り組んでいます。
 今後の展望としては、短期間で入院して退院する患者が増えているなか、現在の病棟編成では対応が難しいところもあり、地域包括ケア病棟の新設に向けた準備を進めています。地域包括ケア病棟が開設できれば、病院形態としては完成に近づくと考えています。


<< 施設概要 >>令和5年12月現在
理事長 上田 美弥 病院開設 昭和48年
院長 小川 功 職員数 514人
病床数 199床(一般病棟60床、回復期リハビリテーション病棟46床、医療療養病棟93床)、協立病院介護医療院96床
診療科 脳神経外科、総合診療科、内科、整形外科、泌尿器科、放射線科、皮膚科、循環器内科、リハビリテーション科、胃腸内科、婦人科(2024年1月開設予定)
法人施設 介護老人保健施設「清寿園」、「ふれあい」/グループホーム「かがやき」、「かがやき2号館」、「ふれあい三野」/居宅介護支援事業所「かがやき」
住所 〒770−8070 徳島市八万町寺山13番地2
TEL 088−668−1070 FAX 088−668−1075
URL https://kyoritsuhp.or.jp


■ この記事は月刊誌「WAM」2023年2月号に掲載されたものを一部改変して掲載しています。
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