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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2025年10月20日

【厚生労働省】第4回障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会(令和7年9月16日開催)

入所期間の長期化・高齢化に応じた「複数の目標値設定」は見送り
「強度行動障害・医療的ケア対応のグループホーム増量が必要」と明記

 次期障害福祉サービス等報酬改定や第8期障害福祉計画(令和9年〜11年度)の基本指針に反映させることを念頭に、障害者支援施設のあるべき役割や機能などを整理する目的で設置された「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」(座長:小澤温・筑波大学名誉教授)は、9月16日に第4回会合を開催し、議論を概ねとりまとめた。

 次期障害福祉サービス等報酬改定や第8期障害福祉計画(令和9年〜11年度)の基本指針に反映させることを念頭に、障害者支援施設のあるべき役割や機能などを整理する目的で設置された「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」(座長:小澤温・筑波大学名誉教授)は、9月16日に第4回会合を開催し、議論を概ねとりまとめた。

 同省事務局がこの日示した「とりまとめ案」では、第8期計画の基本指針でも引き続き、「地域移行者数」や「施設入所者数の削減」にかかる目標値を設定する必要があることを確認しつつ、検討会で俎上に載せられていた「入所期間の長期化や高齢化等に応じた複数の目標値設定」に関しては、現状で実態把握が不十分であることから、「まずは実態把握の方策も含め、具体的な対応を検討していく必要がある」と整理した。

 その一方で、退所者の受け皿の一つとなるグループホームに関しては、「強度行動障害を有する者や医療的ケアが必要な者、高齢利用者の地域での受け皿を増やすため、これらに対応する専門性やバリアフリーに配慮したグループホーム等を増やしていくことが必要」と踏み込んだ。委員からは、書きぶりの調整に関する注文が提起された他は大筋で賛同を集め、座長一任でのとりまとめが了承された。

※9月24日付で正式な「これまでの議論のまとめ」が同省ホームページに掲載済

「短期入所受け入れ」「地域生活支援拠点」「敷地外での日中活動」など求める

 とりまとめ案の構成は、前段で「障害者支援施設の現状」として、国内全施設および全自治体を対象とした調査(障害者の地域支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る調査研究事業:令和6年11月〜令和7年1月実施)から、施設で行われているケアの状況や、自治体の「待機者把握」の仕方の現状などに言及。本論として、「障害者支援施設に求められる役割・機能、あるべき姿」を整理しつつ、「今後の障害福祉計画の目標の基本的方向性」を謳い、今後それらをどのように具体化していくかの段取りや、さらなる課題を末尾に示すものとなっている。

 「障害者支援施設に求められる役割・機能、あるべき姿」に関しては、@利用者の意思・希望の尊重、A地域移行を支援する機能、B地域生活を支えるセーフティネット機能、C入所者への専門的支援や生活環境――という4つの切り口で整理。

 @の「利用者の意思・希望の尊重」に関しては、本人が自分の意思を表明しやすいよう「場面や環境等の配慮」や「多様な体験や経験を通じた意思形成支援の積み重ね」が重要と記し、Aの「地域移行を支援する機能」については、日中活動の「敷地外での実施」や「将来の地域生活を見据えた内容にすること」が必要だと記載。Bの「地域生活を支えるセーフティネット機能」については、「短期入所の積極的実施」や「地域生活支援拠点等の機能を担うこと」が必要だとしている。

 Cの「入所者への専門的支援や生活環境」については、強度行動障害や医療的ケアにかかる対応、重度化・高齢化への対応、看取りへの対応などにかかる“専門的支援”の機能を備えるべきことが謳われるとともに、「生活環境」に関して、個室化・ユニット化や昼夜分離(※)などを推し進めることの必要性が強調されている。

 この日の部会では、昼夜分離の求めに対して、施設にかかる報酬設計自体が「施設入所支援と日中活動支援の両輪での運営を前提とした水準となっていることから、同じ法人内で完結する支援とならざるを得ない現実がある」として、施設入所支援の報酬上の配慮を求める意見が出された。


※昼夜分離…日中活動支援(昼のサービス)と居住支援(夜のサービス)を自分で組み合わせて利用できるように分けること


強度行動障害・医療的ケア対応は「施設として当たり前」、報酬改定に釘

 また、Cの「入所者への専門的支援や生活環境」に関して、とりまとめ案では「基本的な考え方」として以下のように記されていたことについて、複数の委員から疑義が指摘された。


「強度行動障害を有する者や医療的ケアが必要な者などへの専門的な支援の更なる推進や、重度化・高齢化した利用者への対応、終末期における看取りまでの支援は、地域における支援体制づくりも求められているが、特に障害者支援施設において強く求められている役割である。(以下略)」


 いずれの指摘も、文中にちりばめられた「強く」や「特に」という修飾語の存在により、強度行動障害や医療的ケアにかかる対応、重度化・高齢化への対応、看取りへの対応などにかかる“専門的支援”を提供する役割が、施設において重点化され、地域における支援体制づくりよりも優先されるかのニュアンスを帯びていることに対する疑義を表明したもの。「ここで書かれている取り組みは、施設として当たり前に実施されているべきことであって、『こういう機能を果たさない入所施設は“減算”するなど厳しい方針で臨むべきである』くらいに書いてもらえると、誤解の余地がない」などとして、報酬改定にかかる検討の際に「加算の創設・拡充」の材料として用いられることへの釘を刺す指摘もあった。

 なお、9月24日付のとりまとめでは、次のように修文されている。


「強度行動障害を有する者や医療的ケアが必要な者などへの専門的な支援の更なる推進や、重度化・高齢化した利用者への対応、終末期における看取りまでの支援は、地域における支援体制づくりが求められているとともに、特に障害者支援施設において求められている役割である。(以下略)」


「待機者把握の統一化」は検討を継続、食費・居住費は次期改定で見直し

 とりまとめ案の「今後の障害福祉計画の目標の基本的方向性」では、(1)待機者のニーズの捉え方、(2)障害福祉計画に係る基本方針の目標設定、(3)グループホームの目標の方向性、(4)人手不足の中での生産性向上、(5)施設整備費補助金の対象要件との整合性――という5つの切り口から整理。

 「(1)待機者のニーズの捉え方」に関しては、約半数の自治体が待機者を把握するための調査自体を実施しておらず、実施している自治体についても待機者の考え方や把握方法に相当のばらつきがある、と現状を分析。「施設待機者」のニーズの実態について、「必ずしも障害者支援施設でなければならないというニーズではなく、グループホームの利用や一人暮らし等も含めた居住支援全般に関するニーズとも捉えられる」と掘り下げた。そのうえで、「実態把握をしている自治体の事例の共有その他にとりうる対応等について、引き続き検討していく必要がある」として、今後も検討を継続するべき課題として位置づけた。

 また、「施設入所者の食費・光熱水費等の負担や補足給付の在り方」に関して、令和7年度に実施する「施設入所者も含めた障害者の生活実態」にかかる調査結果を受けて、「他制度とのバランス、在宅で生活する障害者との公平性等の観点も踏まえて事務局において次期報酬改定等に向けて検討する」と明記されたほか、居住支援の全体像に関する議論につなげることの必要性にも言及する内容となっている。

 委員からは、「本当に入所の必要があるのか、疑問を抱くような方が入所されているケースも散見されるが、それは地域での受け皿がないから。今後、施設の在り方にとどまらず、『暮らしの場全般』にかかる検討につなげてほしい」「今後、地域生活支援体制を検討する検討会も開催をしていく必要がある。それによって、暮らしを支える体制整備の道筋がつけば、待機者の問題もクリアになってくる」などという意見が提起された。これを受けて、9月24日付のとりまとめでは、居住支援にかかる検討の必要性をより強調する書きぶりに改められている。


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