トップ

高齢・介護

アイコン

医療

アイコン

障害者福祉

アイコン

子ども・家庭

旧トップ
ページへ

トップ背景
wamnetアイコン
検索アイコン
知りたいアイコン
ロックアイコン会員入口
アイコントップ |
アイコン高齢・介護 |
アイコン医療|
アイコン障害者福祉|
子ども・家庭
アイコン



ランダム表示の広告
福祉医療広告

高齢・介護
医療
障害者福祉
子ども・家庭

連載コラム
トップ

トラブルに学ぶリスク対策

介護現場で起きた事例を踏まえ、原因とその防止策のポイントをお伝えしていきます。



<執筆>
株式会社安全な介護 代表取締役
山田 滋(やまだ しげる)
<プロフィール>
介護現場で積み上げた実践に基づくリスクマネジメントの方法論は、「わかりやすく実践的」と好評。著書に『安全な介護』(筒井書房)、『介護施設の災害対策ハンドブック』(中央法規)など多数

事例㉒:デイサービスで転倒骨折、原因は居宅で起きたアクシデント

こんな事故が起きました!

Hさんは、軽度の認知症はありますが、自力歩行ができるデイサービスの女性利用者です。息子さんと二人暮らしですが、日中独居でお迎えの時には息子さんはいません。ある朝、Hさんがデイサービスに到着し、送迎車から降りてデイルームに歩いて行こうとした時、歩行がふらつくことに職員が気付きました。職員が支えようと駆け寄った途端、Hさんは転倒してしまいました。受診の結果、大腿骨骨折と診断され、息子さんの携帯に連絡すると「昨日自宅で転んで膝が痛むと連絡帳に書いておいた」と言います。居宅のアクシデントなどによって発生するデイサービスでの事故は、家族からの積極的な情報提供がなければ防ぐことはできません。どうしたらよいでしょうか?

事故原因と防止対策

どのデイサービスでも、家族との情報共有のために連絡帳を利用しています。しかし、Hさんのケースのように送迎時の事故に対して、連絡帳はあまり効果がありません。お迎えで居宅に行った時に居宅に家族がいれば家族から話を聞くこともできますが、日中独居などの場合はこれも難しいでしょう。

また、デイサービスの事故につながる居宅での生活変化は、転倒などのアクシデントだけではありません。熱を出して寝込んだりすれば、デイサービスでの歩行にふらつきが出るかもしれません。歩行器や杖などの福祉用具を買い換えたり借り換えたりしたらどうでしょう? たとえよいものに換えたとしても、使い勝手が違えば慣れるまで動作が不安定になるかもしれません。このように、居宅で生活する利用者にはさまざまな生活変化が起こり、デイサービスで事故につながるすべての生活変化のリスクを把握することはできません。では、どうしたらよいでしょう?

あるデイサービスでは、デイサービスでの事故につながるような、居宅での生活変化について家族に情報提供を呼びかけました。次のような趣旨のチラシを作成して、家族に郵送することにしたのです。

デイサービスではご利用者の事故の防止に努めておりますが、ご自宅での生活変化が原因で発生する事故を防ぐには、ご家族からの情報提供が必要になります。次のようなことが起きたらデイサービスへご連絡いただくようご協力をお願いいたします。

@ ご自宅でのアクシデントや体調不良

自宅で転んで膝が痛い・熱を出して寝込んだのでふらつく、などの転倒につながるような出来事。

A 福祉用具や生活用具の変化 

杖や歩行器などを買い換えた(借り換えた)場合など、身体機能に変化が出る場合があります。

B 服薬の変更

服薬(とくに向精神薬や血圧降下剤など)が変更になるとふらつきが出て、転倒の危険が高くなります。

C その他

履きなれた靴や服装なども歩行の安定には欠かせませんから、ご家族のご配慮をお願いします。

デイサービスで転倒骨折、原因は居宅で起きたアクシデント

チラシをご家族に一斉送付したところ、反応がたくさんありました。「理由はわからないが、昨日からよく転んでいる。デイサービスでも注意してほしい」などの情報提供が家族から頻繁に入るようになりました。また、「最近、認知症が進行して言ったことをすぐ忘れる」など、症状の変化も知らせてもらえます。何より心強いのは、利用者の事故のリスクに家族が敏感になり、デイサービスと同じ立場で事故防止について考えてくれるようになったことです。

トラブルを避ける事故対応

デイサービスや施設は、とかく家族をお客様の席に座らせてしまって「転倒した、どちらの責任か?」など家族と対峙してしまうことがあります。しかし、家族も居宅では利用者の生活を支える支援者です。ですから、家族はデイサービスと同じ支援者席に座っていただき、一緒に利用者に目を向けて事故防止に取り組むと、事故が発生した時のトラブルも避けられます。事故防止には家族の協力が必要であることを認識してもらうことは、大切なリスクマネジメントの取り組みの一つなのです。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成29年1月号に掲載された記事を一部編集したものです。
  月刊誌「WAM」最新号の購読をご希望の方は次のいずれかのリンクからお申込みください。

ページトップ