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トラブルに学ぶリスク対策

介護現場で起きた事例を踏まえ、原因とその防止策のポイントをお伝えしていきます。



<執筆>
株式会社安全な介護 代表取締役
山田 滋(やまだ しげる)
<プロフィール>
介護現場で積み上げた実践に基づくリスクマネジメントの方法論は、「わかりやすく実践的」と好評。著書に『安全な介護』(筒井書房)、『介護施設の災害対策ハンドブック』(中央法規)など多数

事例㊱:センサーコールへの対応が遅れ転倒骨折

こんな事故が起きました!

ショートステイの夜勤帯に、介護職員がMさんのポータブルトイレの介助をしようとした時、その日に入所した認知症が重いSさんの居室のセンサーコールが鳴りました。介護職員はMさんの介助に時間がかかり、コールに対応したのは10分後でした。介護職員がSさんの居室に行くと、ベッド脇の床にSさんが倒れており、翌朝受診すると大腿骨の骨折と診断されました。家族が事故状況の説明で見せられた事故報告書の事故原因欄に、「センサーコールの対応が遅れたこと」と書かれていました。家族は「“転倒防止のためにセンサーコールを設置する”と言った。コールに対応しなかったのは施設の過失だ」と主張して、治療費などの賠償金を請求してきました。

居室での転倒を防ぐ義務があるか?

通常、居室で利用者が自力で歩行して転倒により骨折した場合、施設は過失として責任を問われることはありません(※)。なぜなら、職員は居室で利用者が転倒しないように常時見守り続けることは不可能ですし、そのような義務もないからです。では、センサーを設置していた場合はどうなるでしょうか?答えは同じです。たとえ、センサーコールに迅速に対応したとしても、必ずしも転倒を防げるわけではないからです。

すると、この事故の責任を追及してきた家族の主張は間違っているのでしょうか? 「施設が転倒防止のためにセンサーコールを設置するといった」と家族は主張しています。つまり、家族はセンサーコールを設置すれば居室での転倒を防げると誤解したのですが、誤解させたのは施設側の説明です。

本来防ぐ義務がない事故であっても、「必ず事故を防ぎます」と家族に説明すると、事故防止を約定したことになり、事故発生時に賠償責任が発生することもあります。センサーコールは、転倒を防ぎたい家族にとっては有難いことですが、過度な期待を抱かせるような行き過ぎた説明には注意が必要です。
※ 居室内の転倒事故でも設備・用具などに不備があれば過失となる場合があります

なぜセンサーコールを設置するのか?

近頃ではどの施設でも歩行自立の認知症の利用者などの居室に、センサーコールを設置することが当たり前になっています。しかし、センサーコールは本当に転倒防止効果があるのでしょうか?

例えば転倒の危険が高い認知症の利用者が、ベッドから立ち上がりセンサーに足を着きコールが鳴ったとします。職員が素早く駆けつけても、すでに転倒しているケースもありますし、転倒する前に居室に駆けつけたとしても、「転倒すると危ないから」といって利用者をベッドに押し戻すことはできません。すると、センサーコールは転倒発生時に迅速に対応できるというメリットはあっても、転倒防止に効果があるかは疑問です。

センサーコールへの対応が遅れ転倒骨折

夜勤帯に複数のセンサーが鳴って対応できなかったり、センサーとナースコールが同時に鳴ってセンサーを優先したことでトラブルになるなど、センサーへの対応は現場職員の大きな重荷になっています。一度センサーのメリットとデメリットを検証してはどうでしょうか?

トラブルを避ける事故対応

入所時の説明不足や不適切な説明が原因で、事故発生時にトラブルになることがあります。少しでも事故を防ぎたい家族は、施設の事故防止対策に対して過大な期待を抱きます。防げない事故を家族が“防げるのが当然”と誤解すれば、トラブルに発展します。事故報告書に事故原因として「センサーコールへの対応が遅れたこと」と記載しても適正とはいえず、施設における利用者の生活行為に伴う事故は、防げない事故がたくさんありますから、防止対策については防げないケースがあることを必ず説明しなければなりません。「センサーコールを設置しますから安心ですよ」などといってはいけません。

※ この記事は月刊誌「WAM」2018年3月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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